人間のミスというのは無くならないです。
それは人の生命を預かる医療の場でも、もちろん同様です。
医療事故を皆無にするのは簡単なことではありません。
今日は医療事故の様々な事例について
お伝えしていきたいと思います。
さいたま市での医療事故の事例
さいたま市では、生後すぐに分娩台で母親と添い寝をしていた
赤ちゃんが亡くなり、医師らが監視を怠った事に問題があり、
医療事故であるとして、
さいたま市内の夫婦が訴訟起こしたという事例がありました。
原告男性の妻は2000年5月に入院し、
無痛分娩により長男を出産いたしました。
病院では、出産した後に4時間ほど母親と赤ちゃんを
添い寝させることが慣例となっておりました。
そのため、担当の看護助手が生まれたばかりの
長男を母親の脇に寝かせたのです。
出産した新生児を、数時間にわたって母親と触れあわせるやり方は
「カンガルーケア」と呼ばれており、母子の絆を強める効果があるとして
最近多くの病院でも取り入れられております。
母親が3時間ほど経ってから目を覚ますと、長男は死亡していました。
このとき主治医は分娩室を離れていて、看護助手も1人で20人ほどの
入院患者の世話をしていましたので、
十分にケアできているとは言いがたい状況でした。
当初、病院側は死因を突然死としていたんですが、
和解条項においては母親の身体で圧迫された
窒息死の可能性であることも認め、その後、謝罪をしました。
寝ている間はもちろん意識が存在しませんから、
自分がどのような行動をするかも分からないです。
それが出産後という疲労が溜まっている
状況ならばなおさらのことでしょう。
病院側がしっかりと注意していれば、
このような事例の医療事故は防ぐことができたはずです。
耳の手術に関する医療事故の事例
仙台市にある東北大病院で耳の手術を受けた方が、
麻酔後に重度の植物状態になったとして、
元看護婦とその両親が国と医師に対して訴訟を起こしたという事例があります。
この事例は、容態の急変は病院側の投薬ミスが原因だったとしまして、
約1億6300万円の損害賠償を起こしたという医療事故の裁判です。
一審判決によりますと、この女性は1994年の5月、
東北大病院で聴神経腫瘍の摘出手術を受けました。
麻酔を受けた女性の血圧が低下しているにも関わらず、
そこで医師は脈を少なくする薬を使用しました。
そのせいで女性は心停止に近い状態となってしまい、
7分以上にわたって脳への酸素が不足する状態になってしまいました。
そして意識がなくなり、自発呼吸もできない植物状態となってから、
その状況がずっと続いております。
仙台地裁の一審では、これが投薬ミスの医療事故であることを認めまして、
国と医師1人に対し、合計1億8000万円の損害賠償を求めたのです。
しかし、国側はこれを控訴しました。
結局、仙台高裁において国が9600万円を支払うことで和解が成立しました。
しかし、和解はしたものの国側は投薬ミスとは決して認めず、
問題となった薬物について研究を深めていき、
安全を期する取り組みに努力するとしました。
一審からの約2200万円の減額は、
病院での完全介護に伴う生活費の控除となっております。
また、裁判が長引くことによって
家族に与えるストレスの負担も大きくなってしまうので、
和解に応じることとしたと女性側の弁護士が述べています。
脳性麻痺が発症した事例
大阪市に住む7歳の男児とその両親は、
子供の脳性麻痺による重い障害が残ったのは病院側の責任であるとして、
奈良県新庄町の病院と、その理事長に対して訴訟を起こしました。
この事例では、慰謝料などとして計1億6000万円の損害賠償を求めましたが、
大阪地裁堺支部の判決では、病院側に約1億600万円の支払いを命じました。
2003年4月23日に出た判決によりますと、男児は1995年10月に帝王切開により、
早産児として出生したのです。
出生した直後から、呼吸時に胸部組織が陥没するなどの症状が現れておりました。
このような症状は「新生児呼吸窮迫症候群(RDS)」と呼ばれ、
速やかに高度医療機関に移さなくてはいけないんです。
しかし実際には、男児が新生児集中治療施設に
搬送されたのは出産からおおよそ13時間後だったんです。
男児は人工呼吸管理によりなんとか自発呼吸はできるようになったのですが、
脳性麻痺を発症し、自力で歩くことができないという
重い障害が残ってしまったんです。
この事例では、病院側がRDSであるという可能性を
十分に認識できる状況であったし、
その注意義務を怠ったとして、病院側の責任となりました。
医療事故、医療ミスというものは、どんなに注意していても
起こってしまうものです。
しかしこの事例においては、医療事故というよりは
やはり病院側の不手際であったともいえるでしょう。
患者の命を扱っていることを十分に心にとめて、
しっかりとした注意義務を果たして欲しいものですね。