身体や精神の苦痛を軽減することを主な目的とするものを
「終末期医療」といいます。
「ターミナルケア」と呼ばれることもある終末期医療は
緩和医療が処置の中心となり、
あくまでも苦痛を和らげることが優先されます。
そもそも終末期というのは、どういう状態なのでしょうか。
今日は終末期医療についてお伝えしていきたいと思います。
終末期とは
終末期とは、疾患の進行が深刻で、
もはや回復の見込みがほぼない状態を指します。
そのため、治療によって延命を目指すのではなくて、
苦痛を軽減して余生を穏やかに過ごすことが
終末期医療ということになります。
終末期医療を行うには、患者本人やその家族、
医療関係者などの相互理解が基盤となります。
延命治療を行うかどうかは患者本人の意志が優先され、
もはや患者自身にその判断ができない場合には、
家族の判断が重要視されます。
終末期では、
それ以降の延命措置を拒否することができます。
ただし、その場合は延命措置を拒否する旨を
しっかりと書面にする必要があります。
そのため、患者の家族や代理人の証言だけで
延命措置を拒否することはできないです。
もちろん命に関わる決定ですから、
1度の話し合いだけで結論を出すのではなくて、
何度も回数を経てじっくりゆっくりと結論に至ることが大切です。
治る見込みがない苦痛の多い状態を続けていくのが、
本人にとって本当に良いのかどうかをよく考える必要があります。
終末期の状態にある患者の多くは、
苦痛を緩和してくれることが願いです。
できるだけその願いに応えてあげることが大切です。
終末期医療における問題
がんなどの重い病気の進行が深刻な場合、
もはや回復の見込みがないということが分かる時があります。
延命することが可能であっても、それに大きな苦痛が伴う場合は、
患者だけでなく、家族もまた大きな苦痛を感じるはずです。
そのためにある考え方が、延命することを目的とするのではなく、
患者の苦痛を和らげることを目的とした「終末期医療」です。
精神面や身体面での苦痛を和らげ、
患者の余生の質を上げるということが終末期医療の大きな目的なんですね。
しかし、この終末期医療において様々な問題点もあります。
まず、本人の意思が反映されにくいという点です。
本来、延命措置の拒否や、安楽死、尊厳死などの希望は
本人の意思が優先されることになっているんですが、
必ずしもそうなっていないのが現状なんです。
近年では「リビングウィル」に従うことが
重要であるという動きもあります。
リビングウィルとは生前の意思のことで、
あらかじめ延命措置の中止や尊厳死の権利を
書面などで主張しておくことです。
患者が深刻な状態になり、
自分自身では判断できない状態になった場合には、
このリビングウィルが優先されることが多いようですね。
その他に挙げられる終末期医療の問題としては、
十分な施設や人員が足りていないということが挙げられます。
終末期医療を希望している患者の数に対して施設の数が、かなり不足しており、
またそれに携わる人員も不足しております。
そのため、患者の意思を優先できないということが多くなっています。
終末期医療にかかる費用
終末期医療にかかる費用は、
どのような処置をするのかによって大きく変わってきます。
もっとも経済的に負担がかからないのは、在宅での終末期医療です。
住み慣れた家というのは、患者にとっても心和らぐ場所です。
そのため、自宅で最期を迎えたいという人は少なくありません。
ただし、経済的負担が少ない分、家族にかかる負担は非常に大きいといえます。
症状が急変した場合などは、家族だけでは十分に対応することは難しいでしょう。
しかし、在宅での医療も保険診療となるので、各種の健康保険が適用されます。
さらに訪問診療の回数や訪問看護の回数によって、
公費負担制度や高額療養費制度の適用を受けることも可能です。
また、自宅ではなくホスピスなどに入院する場合、
厚生労働省によって入院医療費が定められています。
負担が3割の場合なら1日11,406円、
負担が1割の場合は1日3,802円となっています。
さらに、食費として1日あたり780円ほどがかかります。
病室によっては、さらに室料が必要となったり、
おむつ代やパジャマ代などがかかったりすることもあります。
諸々の費用を計算すると、室料が無料の部屋に入院する場合、
だいたい1日あたり5,000円から6,000円ほどの費用がかかることになります。
終末期医療をどのようにするかは、
残された家族でしっかりと話し合ってから決めてくださいね。